2017年12月19日 更新

過剰すぎる日本の注意放送。求めているのは誰か?

エスカレーターに乗れば「手すりにつかまって」、電車にのれば「傘などの忘れ物に気を付けて」など、日本の注意放送はそんなところまで言うか!?というぐらい丁寧で、どこか過剰すぎるレベルとも言える。こうなってしまった背景には、どんな理由があるのでしょうか。

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うるさすぎる日本の公共空間

Free vector graphic: Loudspeaker, Man, Boy, Holding - Free Image on Pixabay - 1459128 (69427)

私は広い意味における公共空間(飛行機の中も含めて)では、なるべく音を発しないことが「正しい」と思っている。いわゆる大声でのおしゃべりや個人的に音楽を流すこと(これは多くの人が嫌っているからいいでしょう)のみならず、その空間を管理している責任主体(この場合は全日空)も、むやみに「音」を流してはならない。
空港ビルのあらゆる店には音楽や宣伝放送が流れ、ダイナースなどの待合室にもBGMが流れ、エレベータには「1階です、こちらのドアが開きます」、エスカレータには「エスカレータにお乗りの際、手すりにつかまり……」という金属的なテープ音が入る。トイレに近づくと、「右が男子トイレ、左が女子トイレです」という放送が入る。もちろん、銀行のATMは「いらっしゃいませ、毎度ありがとうございます」というキンキラ声で迎えてくれる。
搭乗口では、液体や危険品の持ち込みを注意する放送が流れ、出入国審査の場所では、(場合によって)「日本人は日本人と書いてある窓口にお並びください」という放送が流れ、空港内の動く歩道には「まもなく終点です、ご注意ください」というテープ音が流れ、帰国の際に、ベルトコンベア上を流れてくる荷物を待っているあいだずっと、「入国カードをご記入ください、入国の際にはパスポートと一緒に入国カードを示してください」という放送が流れる。
いやほんとにその通りで、とにかく街を歩けば注意放送が聞こえないタイミングがない、というぐらい、世の中は音に溢れています。

僕が個人的に印象に残っているのは、恵比寿駅からガーデンプレイスに行く道の動く歩道。載っている間中、足元に注意しろ、という放送が流れており、その距離も結構長いもんだから、気になりだすともはや発狂モノで、かなりの精神的負担になる。

極論、聞いてしまった方が負け、なぐらいに音が溢れていると言っても過言ではないでしょう。

ヨーロッパには注意喚起の放送がない

Free photo: Bank Note, Euro, Bills, Paper Money - Free Image on Pixabay - 209104 (69428)

実は、こうした「あああせよ、こうせよ」という放送が、もっともっとあるのですが、このすべてがヨーロッパの空港にはないのです。
これは、趣味の問題ではなく、思想の問題でしょう。日本人は、老人、旅慣れない人、不注意な人など、「弱者」に視点を合わせ、注意放送によって彼らを救おうとする。
しかし、ヨーロッパでは、そうではなく、そういう「弱者」は自分で努力して事故や不注意を防ぐようにすべきだ、という思想が徹底している。キリスト教の思想が行きわたったヨーロッパで、弱者に対するこうした注意放送(看板)が皆無なのです。
弱者に合わせる、というのは確かにビジネスの世界でもよく見かけます。実際筆者が会社員だった時代、会社の仕組みなどに関して上司から「できないやつに合わせて考えないといけない」と良く言われたものです。

しかしこう比較してみると、ヨーロッパとか結構優しくないんだね。なんて思いそうになるが実はそうでもなくて…
ヨーロッパには、床に敷き詰められた盲人用の黄色いポチポチがどこにも(電車のホームにも)ないし、障害者用の男子用トイレの鉄パイプもありません(私はこれまでこれを使っている人を見たことがない!)。じゃ、どうするのか? 近くにいる個人がそのつど助ければそれでいい。
わが国では、周囲の盲人や車いすの人をよく見ず、率先して彼らを助けることをせず、みんなこうした観念的放送を観念的弱者のために必要だと思い込んでいる。
こうやって比べてしまうと、今度は日本の方が優しくない感じがプンプンしてきてしまいましたね。

確かに日本では、とにかく他者との関わりを避けよう避けようとする風習はあるかもしれない。
まぁそれがこじれて、単なるオラつきやわがままなだけの存在になるやつも多くいるわけではありますが。

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